怒れ九州人

本稿は3、4年程前に掲載した記事に加筆したものである。
 当時はガラケーで投稿していたため、500字以内という規制に阻まれ、言いたいことを削ってしまうことも少なくなかった。
 そこで、旧稿に加筆し、再掲載することとした。

【聞け九州人】昨年(当時)、『そこまで言って委員会』で三宅ナントカいうエセ保守がとんでもないことをほざいていた。
 「九州は熊襲(クマソ)あたりの住む、文化果つる地。これは万葉集にも沢山出てくる。」だって。
 以下(1)クマソ(2)文化(3)万葉集についてチェックしていきます。

【熊襲とは?】(1)クマソは九州には一人も住んでいないし、住んでいたこともない。クマソとは種族ではなく、地名だからである。
 「熊」とは熊本辺り。「襲」とは鹿児島から宮崎辺りのことです。

「日向の襲の高千穂の櫛振(クシフル)の峯」

これが天孫降臨の地です。日向(ヒムカ)とは、この場合、九州のことです。
[岩波文庫『日本書紀』第2分冊362、363頁参照]

【では文化とは?】(2)文化とは明治時代に、西洋の学問を翻訳するため創作された和製漢語です。cultureの訳語であることはご存知の通りです。
 「文化、文政」という本来の用法は「法や思想で支配する」との謂です。
 もし九州が「文化果つる地」であれば、それは大和朝廷が支配していない地という意味でしかありえません。
 したがって、(3)万葉集に「文化果つる」などと詠まれているはずがない。
 万葉随一の歌人 柿本人麻呂は、初めて九州を訪れた感動を
 
大君の遠の朝廷(みかど)とあり通う島門(しまと)を見れば神代し思ほゆ【万葉集 巻三 三〇四】

と詠んでいます。
 そもそも、天皇家が九州出身であることを知っていれば、保守派を自任する者が九州を馬鹿にできるわけがない。

【怒れ九州人】この三宅説は30年程前にサントリーの経営者一族が述べて物議をかもした言説そのものです。かの経営者と三宅が友人であり、三宅に言わせたと想像される。
 そして、かの佐治某と三宅ナントカが如何に無知であるか、無知でなければ大嘘つきであることが容易に知れるのである。
 自国の一部を殊更侮辱するがごときは祖国分裂主義者の所業であって、愛国者のそれではありません。三宅とサントリーに鉄槌を下しましょう。

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